学校薬剤師 と言えば、文字通り学校の環境衛生や薬物乱用防止教室などが思いつきますが、実際にはどんなことが行われているのでしょう?
僕がこれから学んでいくことや人との関わりについて、実体験として記事にしていこうと思います。
全てが初めての体験となるので、大学時代に学んだ衛生化学や学校薬剤師についての知識(ほぼ忘れてます笑)をどの程度活かせるのか、そう言った部分にも触れていければいいなと思います。
そうした中で、皆さんが学校薬剤師について知りたい、などと興味を持っていただけたら嬉しいです。
ではまず「学校薬剤師」ですが、日本薬剤師会のHPを参考にすると、
学校保健安全法第23条
1 学校には学校医を置くものとする。
2 大学以外の学校には学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。
3 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、それぞれ医師、歯科医師及び薬剤師のうちから任命し、又は委嘱する。
4 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、技術及び指導に従事する。
日本薬剤師会HP
とあり、大学以外の学校に学校薬剤師の設置が義務付けられています。
肝心の活動内容ですが、学校薬事衛生(薬品の使用・保管等)、学校環境衛生(換気、採光、照明等)の維持管理に関する指導・助言、健康相談、保健指導となっています。
そのうち学校環境衛生検査ですが、「学校環境衛生基準」に基づいた規則に従って行われます。
学校環境衛生基準
1. 教室等の環境に係る学校環境衛生基準
・換気及び保温等
・採光及び照明
・騒音
2. 飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生基準
・水質
・施設・設備
3. 学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係る学校環境衛生基準
・学校の清潔
・ネズミ、衛生害虫等
・教室等の備品の管理
4. 水泳プールに係る学校環境衛生基準
・水質
・施設・設備の衛生状態
5. 日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準
・教室等の環境
・飲料水等の水質及び施設・設備
・学校の清潔及びネズミ、衛生害虫等
・水泳プールの管理
6. 雑則(臨時検査)
日本薬剤師会HP
となっています。
多いですね、、熟せるのか不安にもなります(笑)
ただ、これらの全てを行うわけではなく、学校によって行う検査の種類が異なります。
(学校環境衛生基準マニュアルもご参照してください)
学校薬剤師 業務の年間スケジュール
4月中旬の市町村教育委員会と薬剤師会による会議で、今年度分の検査スケジュールと各学校における検査項目、日程が決まり、4月末には各学校と薬剤師へ通達がありました。
各検査項目における意義や手技などは次回以降の記事で触れられたらと思います。
僕の地区の主な年間スケジュールは、
5月・・飲料水検査、学校給食用食器等残留脂肪澱粉+大腸菌群検査
6月・・プール水検査
9月・・学校給食用食器等大腸菌群検査
10月・・教室内空気検査・照度検査
1月・・教室内空気検査・照度検査
となっていました。
それぞれ時期的に関連しそうな検査項目となっていますね。5、9月は食中毒関連、6月は水泳、秋以降は日照時間が少ない暗く寒い時期、、といったところでしょうか。
薬物乱用防止教室が入っていませんでしたが、これは個別案件なのか、今度確認してみようと思います。
実際の学校職員との関わり
実際の学校職員との関わりですが、4月現在において、
①お世話になる学校へ足を運び、校長先生、教頭先生、養護(保健室)の先生へ挨拶
②養護教諭との密な連絡
が行われました。
①は当然ですね。あくまで外部の人間がお邪魔し監督・指導することにもなるのですから。ただ、3月は教職員の異動の時期に重なることもあり、挨拶は4月の初旬以降で組むのが無難かもしれません。
②についてですが、養護教諭は、学校側の行事や予定と薬剤師側の都合を上手く掛け合わせるための仲介的存在となっており、検査の日程・時間が決められスムーズに実施できるよう取り計らってくれる重要なポジションの方です。おそらく最も円滑なコミュニケーションを必要とする学校職員なので仲良くしておくべきでしょう。
僕の担当する学校職員の方々は、幼稚園も含めて、皆さん穏やかでフレンドリーで、とても良好な関係を築けそうな印象でした。とりあえずホッとしました(笑)
学校薬剤師 の契約と報酬
学校薬剤師として職務に従事するためには、まずはそもそも契約を結ばなければなりません。契約の相手は市町村の教育委員会となります。学校薬剤師として承認を受けた後、案内に従って必要書類を教育委員会へ提出します。主な提出書類は、同意書、振り込み口座記入用紙、マイナンバーの写し、履歴書の4点でした。これにより学校薬剤師として正式に認可されることになります。
学校薬剤師の報酬に関してですが、確認してみたところ、原則的に市町村によって大きく金額が異なるようです。小中高では1校あたり年間15万円前後、幼稚園では年間3万円前後といった場合が多く、私立か公立か、また学校保健委員会への出席で報酬をもらえるパターンもあり、統一性はなさそうです。
もちろん報酬は後からついてくるものだという認識で、あくまで薬剤師として生徒や教員の学校環境にどれだけ安心・安全を担保し貢献できるか、といったところであることを忘れずに取り組んでいく必要があります。
最後に
今回は学校薬剤師としての実務の前段階を紹介致しました。これから学校薬剤師を始める方、その他学校薬剤師に興味のある方にも、学校薬剤師の実情を知る機会として少しでも参考になれば幸いです。
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