【授乳中のアレルギーの市販薬】飲める薬、使える目薬、点鼻薬を薬剤師が紹介・解説!

一般の方向け

授乳中 でもアレルギーの薬は使えるのでしょうか?

 

アレルギーの薬、授乳中でも安心して飲めるの?

授乳中でも使える薬ってどんなのがあるの?

そんな疑問や不安を抱えつつ母乳育児を続けたいお母さん方は多いと思いますし、実際に薬局やドラッグストアに相談に来られる方も多くいます。

今回は薬剤師としてそんな不安や疑問に応える内容で、一般の方でもある程度の情報を拾える方法もお教え致します!

記事の後ろの方では状況に応じて授乳中でも使用できる市販薬も紹介しています。
本記事で紹介する市販薬は全て【セルフメディケーション税制対象商品】のため、医療費控除をお考えの方にも参考になると思います。

⚠️注意⚠️

仰々(ぎょうぎょう)しく申し訳ないですが、この記事をお読みいただくにあたり、以下のことに注意してください。

授乳中に薬を使用する上での注意
  • 最終的な判断はかかりつけの医師や薬剤師にも相談を
  • データとして安全に飲めるとされているものでも100%安心安全ではない
  • データ的に安全でもほとんどが効能効果として正式に認められていない

授乳と薬

授乳中 に影響する薬の特徴

本来は使う薬の特徴だけでなく、お母さんやお子さんの身体の状態の影響も受けますが、ここでは薬の特徴のみを挙げます。

  • 脂溶性
  • 分子量
  • タンパク結合率
  • 半減期
  • 薬剤のpKa
  • 分布容積

聞いたこともない専門用語もあると思いますが、簡単に言えば、薬がお母さんの身体に残りやすいほど、薬が母乳に溶け込みやすいほど母乳へ移行しやすくなります。

薬学的な知識が必要になってくるので、ここで詳細は割愛します。

別記事でアレルギーの飲み薬の母乳移行量を実際に計算する方法を解説していますが、薬学部向けのかなり専門的な内容となっています↓↓

授乳中 の薬を調べる資料

いくつかありますが一般の方に専門書を薦めるのは酷なので、ここではよくまとまっているわかりやすいインターネット上のサイトを紹介したいと思います。

全ての医薬品を網羅しているわけではなく、ほんの一部でしかないですが参考にできると思います。

国立成育医療研究センター

代表的なのがここです。

医療従事者でも咄嗟に調べるには便利なサイトで、一覧になっておりとてもわかりやすいです。

cf. 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

医療用医薬品についての情報が記載されていますが、市販薬でも同成分がある場合には参考にでき、一般の方向けのサイトでもあります。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(愛知県薬剤師会)

cf. 妊娠・授乳と薬
http://boku-clinic.com/pdf/d3.pdf

愛知県薬剤師会のまとめているネット上の公開資料で、参考にしている情報は国立成育医療研究センターのものと一部被っていますが、評価基準も示されていて、より細かくまとまっています。

Drug and Lactation Database (通称 LactMed)

アメリカ国立衛生研究所の運営するデータベースで、国立成育医療研究センターが薬の表をつくるのに参考にしているサイトでもあります。

全文英語のため苦手な方は翻訳する必要もありますが、授乳期間中にその薬を使用することで起こりうる有害な事象などもまとまっていてとても参考になります。

cf. Drug and Lactation Database (LactMed)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/

授乳中 でも安全なアレルギーの薬の成分と市販薬

念を押しますが、市販薬の購入をお考えの方も、特に飲み薬はメーカーにより「授乳中は服用しないこと」「服用中は授乳を避けること」などの記載もあるため、かかりつけの医師や薬剤師にも相談するようにしてください。

※本記事で示している商品は、前述した国立成育医療研究センターで安全に使えると情報公開されている成分に準じたものです。

授乳中 の局所外用薬<点眼薬(目薬)、点鼻薬>

点眼薬や点鼻薬などのように、基本的に『使ったその場所で効く』ように工夫された飲み薬以外の薬のことを局所外用薬と言います。

局所外用薬のメリットは、内服薬(飲み薬)に比べて全身へ吸収されにくく、薬を使った場所にのみ効いて、全身性の副作用のリスクが小さいことです。

こうしたことから、点眼薬や点鼻薬は授乳中でも飲み薬に比べて安心・安全に使うことができます。

授乳中 の点眼薬(目薬)

市販の目薬はアレルギーに特化したものから、充血を抑えるのをメインにしたり、弱い成分だったりと様々です。

コンタクトレンズを使用している方はベンザルコニウム塩化物の入っていない防腐剤フリーの目薬を選ぶ必要があったり、授乳していてもしていなくても、そもそもあまりオススメできない成分もあるので使用については薬剤師や登録販売者に相談してください。

市販の目薬は母乳へほとんど移行しないとされ、授乳中でも安全に使用できますが、心配な方は目と鼻の通り道である目頭の鼻側を軽くつまんで目を閉じ、5分ほど安静にしてください。薬が目に留まりやすくなり副作用防止にもなります。

ここで紹介する目薬はメーカーも授乳中に問題なく使用できるとしているものです。

点眼薬の基本的な使用方法も過去に書いているので気になる方はご覧ください↓

cf. 点眼薬(目薬)の正しい使い方、使用期間の目安と期限・保管方法

①エージーアイズ アレルカット

「エージーアイズ アレルカット」は第一三共ヘルスケアの商品で、とにかくアレルギー性の目の痒みをすぐに取り除きたい場合にオススメです。

爽快感が欲しい場合はスーッとする添加剤を含んだクールタイプや、目を潤したい場合は液体にとろみを持たせる添加剤ヒプロメロースを含んだモイストタイプあります。

しかし、いずれも防腐剤のベンザルコニウム塩化物を含んでいて、コンタクトの上から点眼することはできないのでご注意ください。

医療用の成分を含んでいるため【*セルフメディケーション税制】の対象商品でもあり、医療費控除を受けたい方にもオススメできます。

※セルフメディケーション税制による医療費控除は医療用の控除と併用できず定期検診や予防接種を受けている必要があるなど、様々な条件があるため、お近くの薬剤師または登録販売者へご相談ください。

②ロートアルガード コンタクトa

「ロートアルガード コンタクトa」の最大の特徴は防腐剤のベンザルコニウム塩化物が含まれておらず、コンタクトの上からでも点眼可能な痒みに効く数少ない市販の目薬という点です。

コンタクトの種類はハード・ソフトどちらにも使用可能ですが、カラーコンタクトには使用できないため注意が必要です。

こちらも目の痒みに効果的な内容で、有効成分は痒み止めのクロルフェニラミンマレイン酸塩が0.03%で、先ほどのアレルカット®︎0.015%の2倍濃度であるのも特徴です。(その代わり痒み止めの成分が 1種類少ない)

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授乳中 の点鼻薬

点鼻薬はステロイドのものがオススメで、外用ステロイド点鼻薬は副作用もほとんどなく有効性も安全性も高いのが特徴です。

母乳へほとんど移行しないとされ授乳中の方にもオススメとなります。

特に【アンテドラッグステロイド】を含むものは、鼻粘膜で効いて、吸収された後は分解され作用が弱まる工夫がされている薬で、より安全性が高いものになっています。

また血管収縮剤(ナファゾリンなど)を含んだ点鼻薬もあり、鼻詰まりに対して非常に即効性が高く(経験上は1分くらいで効く)、どうしても頼りたくなりますが、長期連用すると“薬剤性鼻粘膜肥厚“といった、薬の連用が原因で鼻粘膜が厚くなりかえって鼻詰まりが酷くなるケースもあるため、特に注意が必要な薬で、最後の切り札的に最小限で使うのがベターです。

①ナザールαAR0.1%

医療用と同成分同量配合されたアンテドラッグステロイドの点鼻薬で、セルフメディケーション税制対象商品です。

アンテドラッグステロイドのため効果も安全性も高く良い点鼻薬です。

②ナザール「スプレー」

これは先ほど説明した、血管収縮剤(ナファゾリン)を含んだ点鼻薬なのであまりオススメできません。

「鼻詰まりがどうしても酷く耐えられない」という時に最後の切り札として、必要最小限で使うようにしてください。

即効性が非常に高く、私も鼻炎で使用しましたが、私の場合は1分くらいで効いてきました。

こちらもセルフメディケーション税制対象商品となっています。

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授乳中 の内服薬(飲み薬)

内服薬(飲み薬)はなんと言っても、消化管で吸収されて全身で幅広く効くという特徴があります。

そして全身の血液を巡るため、授乳中ではごくごく少量でも母乳に移行することになります。

しかし、乳児に影響しないとされ、授乳中でも安心・安全に使える成分もあるので、今回はそれを紹介します。

ジフェンヒドラミンはお母さん自身に眠気が出る可能性もあるので、その場合は②、③が良いです。

ここで紹介するのも全てセルフメディケーション対象商品です。

※本記事で紹介している商品は先述した国立成育医療研究センターで安全に使えると情報公開されている成分に準じたものですが、市販のメーカーは使用の許可を出していないので、最終的な判断はかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

①ジフェンヒドラミン(レスタミン®︎)

眠気が起こる可能性もあるのでオススメしづらいものの、錠数が多くコスパは良いです。

眠気の気になる方は②、③が良いです。

②フェキソフェナジン(アレグラ®︎)

眠気がほぼ出ない薬として有名な成分です。

次に紹介する1日1回飲むだけで良いクラリチンに比べると、1日2回飲まなければいけないものの、コスパが比較的良いです。

また酸化マグネシウムなどの金属含有医薬品を飲んでいる場合は吸収が悪くなり、効果が薄れる可能性もあり注意が必要です。

有名なパッケージのアレグラ®︎は下のリンクですが、コスパが良いのは上のリンクのものです。

③ロラタジン(クラリチン®︎)

フェキソフェナジンと同じく眠気がほぼ出ない薬として有名な成分です。

こちらは1日1回飲めば良い薬で、金属含有医薬品で吸収が下がるという記載がなく、食事の影響を受けにくいのもメリットです。

値段で言うとフェキソフェナジンより高めです。

有名なパッケージのクラリチン®︎は下のリンクですが、コスパが良いのは上のリンクのものです。

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最後に

いかがでしたか?

市販薬でも意外と選択肢が豊富なことに気付いていただけたでしょうか。

念を押しますが、最終的に市販薬を使用して良いかどうかはかかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしてください。

状況が一人一人違うためです。

今回は授乳中に使える市販のアレルギー用の薬の種類と特徴について簡単にまとめてみました。

本記事で紹介したのは全てセルフメディケーション税制対象商品のため、医療費控除を考えている方にもオススメです。

ぜひ参考になさってみてください。

一般の方向けに市販薬の選び方をまとめた書籍もあるのでオススメです!

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